緑内障とは
犬や猫の緑内障は眼圧上昇によって網膜の神経が障害され視覚喪失を起こす疾患です。続きを読む
また高眼圧により眼の痛みを生じます。急性期は特に痛みが強く、元気や食欲が落ちることもあります。長期の高眼圧が持続すると眼球が大きくなり、さらに角膜に損傷が生じ、これによる痛みを起こすこともあります。
緑内障はその発症原因により原発緑内障と続発緑内障に分けられます。人の緑内障は大半が原発緑内障の正常眼圧緑内障であり、非常に進行が遅いことが典型的ですが、犬や猫の緑内障は急速に進行し数日で完全な視覚喪失(失明)を起こすことが少なくありません。
犬や猫の緑内障は、他の眼の異常から生じる続発緑内障が多くみられます。続発緑内障の原因としては、眼の中の炎症(ぶどう膜炎)、水晶体前方脱臼、網膜剥離、眼内出血、眼内腫瘍などがあります。
緑内障の診断は簡単なの?
眼圧の検査だけでは正確な緑内障の診断はできません。 続きを読む
犬や猫の緑内障は、眼の他の異常から生じる続発緑内障が多く、その原因疾患の確認と治療が必要となります。緑内障の原因によっては治療薬の向き不向き(絶対に使用してはいけない禁忌を含む)があります。このため、正確な診断をせずに眼圧下降薬の点眼を使用していると、かえって状態を悪化させる危険性もあります。
緑内障では眼圧検査だけでなく、視覚・反射検査、スリットランプ検査、眼底検査、隅角検査、超音波検査などを実施しないと正確な緑内障の診断はできません。
このため緑内障の正しい診断には多くの検査と幅広い眼科の知識と経験が必要となります。
緑内障は目薬で治る?
緑内障では多くの場合で目薬での治療に限界があります。 続きを読む
緑内障の原因によって目薬や飲み薬など内科的治療で緑内障が改善することもありますが、手術による外科的治療が必要となることも少なくありません。
原発緑内障の初期では点眼による治療効果が得られますが、徐々に治療効果が薄れます。原発緑内障は原因に対する治療はできないため、治すことはできません。原発緑内障では点眼での治療により発症から1年で75%が視力を失います。
また視力の状態や痛みの程度などにより治療の目標が異なり、治療の手段も変わります。
当院では緑内障の原因と目の状態、全身状態を考慮して、治療法をご提案します。
緑内障を放っておくとどうなる?
慢性の鈍痛が続いたり、眼(角膜)に穴が開いてしまう危険性が高くなります。 続きを読む
緑内障は急性期を過ぎると眼の痛みが弱くなることが少なくありません。これは痛く無くなるのではなく、痛みに慣れてきたり痛みを感じる神経が麻痺してくるためです。この状態でも眼圧を下げて痛みの原因を取り除いてあげると、元気や食欲が増す子が少なくありません。これは一見して痛くなさそうに見えても慢性の鈍痛が続いていたと考えられます。
また、高い眼圧が長く続くと眼球が大きくなります。眼球が大きくなると寝ている時も薄目を開けた状態になるだけでなく、角膜は薄くなります。結果として角膜に傷がつきやすくなり、角膜に穴が開く角膜穿孔を起こして、強い痛みの原因となります。
水晶体前方脱臼による緑内障では数日から1週間以内に角膜穿孔を起こし、水晶体が飛び出てくることがあります。水晶体が飛び出るほどの穴が開いてしまうため、とても強い痛みを起こすだけでなく視力回復は期待できず眼球摘出や角膜移植が必要となります。
悪化してからの治療ではできることが少なくなりますので、早期の診断と治療が重要です。
緑内障の手術は?
緑内障の原因と眼の状態によって手術の術式が異なります。 続きを読む
原発緑内障で視力を維持したい場合はインプラント設置術が第一選択となります。ただし点眼薬による治療効果が薄れてからでは視力維持や回復の可能性は下がります。
水晶体前方脱臼による緑内障では水晶体摘出術が必要となることがあります。
眼内腫瘍による緑内障では眼球摘出術が必要となります。
視力回復できない場合には、他院では眼球摘出術や眼内義眼術(強膜内シリコンボール挿入術)が提案されることがありますが、当院ではより痛みが少なく外観を損ないにくい別の方法を提案できる可能性があります(状況により提案できないこともあります)。
手術には全身麻酔が必要となりますが、状況によっては全身麻酔なしの処置で眼圧を下げることができる場合もあります。
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