眼の写真の撮り方

症例の眼の写真を撮ることのメリットは以下の3点となります。

    1. 客観的な評価が可能となる
    2. オーナーへの説明に説得力が増す
    3. 専門医への相談に有効となる

ただし適切な写真の撮影方法でないと、十分な情報が得られなくなります。

良い眼の写真の撮り方

A. デジカメを利用した前眼部撮影

コンパクトデジタルカメラを使用する場合は、カメラのレンズとストロボの位置が近いものを選びましょう。
部屋を暗くし(完全な暗室でなくとも良い)、ストロボを強制発光させて撮影することで綺麗な写真を撮ることができます。部屋が明るくストロボ発光なしの写真では、角膜に周りの風景が映り込むため判断が難しくなります。
基本は眼の正面からの撮影となりますが、徹照法を用いたい場合は眼よりもやや下から撮影することで徹照が得られやすくなります。異常のある片眼だけでなく、反対の眼や顔全体も撮影することで、より情報が得られます。
コンパクトデジタルカメラとしては、やや高額になりますがOLYMPUSのTGシリーズはレンズとストロボの位置が近く、アクセサリーを用いて同軸照射が可能であること、接写に優れていること(皮膚病変撮影など他科の診療にも有効)、防水・防塵・耐衝撃に優れ臨床現場で用いやすいことが利点となります。

一眼デジタルカメラを使用する場合は、リングライトを用いると徹照が得られやすくなります。CanonのEOS Kiss M2やEOS M200の本体にEF-M28mm F3.5マクロ IS STMレンズを使用するとマクロレンズの前面に光源が内蔵されているため、コンパクトで徹照が得られやすくなります。当院ではこのカメラを前眼部撮影に使用していますが、残念ながらCanonはMマウントのカメラを販売終了しています。

デジタルカメラを使用する場合はオートフォーカスではなくマニュアルフォーカスにして、ある程度フォーカスを合わせた後にカメラを前後にずらしてピントを合わせると狙った部位の写真を撮ることができます。

B. スマホを利用した前眼部撮影

スマートフォンはカメラとストロボの位置が近いものが多く、綺麗な眼の写真を撮ることができます。デジカメを利用する場合と同じくストロボを強制発光させて撮影します。片眼の写真を撮る場合は部屋が明るくても十分に撮影できることがありますが、両眼を含めた顔全体の写真を撮る場合は部屋を暗くしましょう。

C. スリットランプを利用

スリットランプを用いる場合も部屋を暗くして観察、撮影をしてください。明室では角膜に周囲の風景が映り込み病変の観察が困難となります。スリットランプにカメラが付いている場合は、その使用法に従ってください。スリットランプにカメラが付いていない場合は正規品以外のカメラを取り付けて写真や動画を撮影するには工作が必要で簡単ではありません。

D. 眼底カメラを利用

眼底カメラを用いて眼底を撮影する場合も部屋を暗くした方が観察しやすくなります。無散瞳での眼底観察では観察光量をできる限り抑えた方が撮影がしやすくなります(ClearView2のように観察光量を調整できないものもあります)。

同一症例の前眼部撮影の比較